036 Feu Pierrot 1857 - 19....., original (1)

鹿島茂先生の蔵書紹介
036 Feu Pierrot 1857 - 19....., original (1)




この間フランスに行った際、版画集(『Feu Pierrot 1857 - 19.....』の原画)があったので購入した。
ドレフュス大尉の冤罪をめぐるドレフュス事件の際、フランスの右翼と左翼は混線する。これによって、左翼に流れ込んでいたユダヤ人嫌いの血が前面化し、反ドレフュス派となる。このとき、ウィレットは(もともと左翼だったが)、ドレフュス派になった人々を散々扱き下ろす、そうした絵を山のように描いた。アンチ・ドレフュス派が全員右翼とは限らないのである。アンリ・ロッシュホールのように本来左翼だった人が反ドレフュス派に回ることもあるし、穏健な保守派であったアナトール・フランスのような人が、ドレフュス派として活躍したこともあった。このあたりのことは今読んでいる『知識人の時代』に詳しく出ている。
しかし、ぼくが扱っているのは、古きよき時代、ドレフュス事件が起きる以前の、ロドリフ・サリスアリスティド・ブリュアンと一緒にモンマルトルのカフェを作ったり絵を描いたりしていた、そういう幸せな時代のものである。