022 Galerie Pittoresque

鹿島茂先生の蔵書紹介



022 Galerie Pittoresque / Victor ADAM, chez l'Editeur DERD BECKER(1)
『ギャルリー・ピトレスク』ヴィクトール・アダン(1835年)。フランス旅行中、リセの先生が経営する、珍本奇本を扱う古書店で入手する。この店が扱う古書は、年四回発行される目録が出たときに、この店ですぐに押さえないと手に入らない。珍しい作品が出品され、また値段もリーズナブルだからである。目録の解説も面白い。今回このアダン作品の購入の決め手になったのは、バルザックユゴー作品の絵解きがあったため。『ル・シャリバリLe Charivari』(絵入風刺新聞)などで活躍したアダンは風俗画に優れており、ドーミエDaumierやガヴァルニGavarniほどの個性がなかったため美術史では言及が少ないが、19世紀の版画マニアにはビック・ネームとして通じている。
音声ファイル3'01''