0069 AUX BAINS DE MER D’OSTENDE (3)

今日の平凡社に『吉本隆明1968』の詳細な案内がでました。

新刊予定
・5月『プロジェクト鹿鳴館! 社交ダンスが日本を救う』 → 案内はこちら
・5月『歴史の風書物の帆』文庫版

鹿島茂先生の蔵書紹介
0069 AUX BAINS DE MER D'OSTENDE (3)




海水浴黎明期の風俗を知る、貴重な資料である。制作年代はこの書籍には記されていないが、画中に見られるセーラー服、印刷技術(Chromolithographie クロモリトグラフィ)、紙質(局紙)から判断して1880年代と思われる。
当時、海水浴はまだ新しい風俗だった。便秘の治療を目的としており、車で遠浅の海に繰り出していたことがイラストからもよく分かる。
この「海水浴」は社交場としても機能し、裕福な市民から高級娼婦、詐欺師といった雑多な人間たちが集まる場と化したが、こうした点も本書に描写されていて面白い。
本書を買い求めたのは、先代の収集した古書を積み上げて売っているパリの古書店であり、その山の中から見つけ出した本書は、フランをユーロに書き換えた法外な値段 − よくあることだが −  が付けられていた(1ユーロ=6.55957フラン)。